ご挨拶

形のない固い石をもって

　どうにも生き心地の悪い社会に生きる私たちにとって、明日に希望を持つことはあるいは大変困難な事かもしれません。一度肩を壊すと、再度マウンドに立つことは殊更困難な社会であると、時に痛切に感じるかもしれません。

　しかしながら、ささやかであっても“夢”があれば、それが少し遠に見えても、歩きだせる糧になると私は考えています。そして、“夢”は何も大げさなものでなく、美しい海へ泳ぎださずとも、打ち上げられたサンゴを集めたり、あるいは海岸の絵を描くことでも、少し砂浜へ歩き出したいと思うことだけでも、それはそれぞれの形の“夢”であるはずです。

　私は、誰かの“夢”を支援します。などと、安直には言えません。ただ、支援者として、理想や希望を探求し続ける事、すなわち、誰もが安心して過ごせる明日を想像し、具体的に取り組むこと、は私の責務であると考えています。また、ささやかな思いを一緒に探し出し、“夢”へと繋げること、すなわち、利用者へも、社会へも具体的にアプローチし続ける事は当然の責務であるとも思っています。そこへは、固いゆるぎない意志をもって取り組まねばと考えています。

　社会は日々形を変え、当然人々の心情や感情も変化し続けるものです。ですから、私は、形のない固い石を心の奥の魂で、ギュッと握り締めて、歩き続けようと思っています。そして、それぞれの“夢”を一緒に描き、描くみらいへ共に歩けたらと思っています。